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障害学会第13回大会(2016年度)報告要旨
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相良 真央(さがら まお) 宮崎青年・成人発達障害当事者会ShiKiBu/特定非営利活動法人凸凹ライフデザイン/
熊本県発達障害当事者会Little bit
■報告題目
熊本地震後の被災地発達障害当事者活動―課題と展望
■報告キーワード
発達障害 / 熊本地震 / 当事者活動
■報告要旨
発達障害当事者として、先日の熊本地震で被災した発達障害当事者を中心に被災地での当事者活動を行う中で、明らかとなってきている課題また当事者の特性等について学会員の皆様と共有することにより、被災地また各地の発達障害当事者への理解が深まり、当事者のより良い生活につながることを期待して本報告を行う。
本報告の目的は、熊本地震被災後の被災地当事者活動の実際の様子の共有を通し、ご指摘等を受け今後の私どもの被災地での活動をより良いものとすること、また、多くの方々に発達障害者を含むより良い社会形成に向けてのご活動を私どもと共にご一考いただくことである。
大きく「変化が苦手」とされることもある発達障害者が熊本地震後から大きな変化にあい、実際にどのような感覚をもっているのか、それぞれの方々にご自身の感覚でとらえていただけるような報告を行いたい。
1.熊本地震直後から現在までの実際
・前震・本震直後に私と仲間はどのような状況にあったか
―ストレスの原因
―自己管理
・時間の経過とともに明らかになる課題
―どうにかなっていたことが、どうにもならなくなる
2.被災地当事者活動の開始
・地震後の当事者としての被災地での活動のスタート、変遷
―マスコミの取材…「発達障害者として困っていること」「必要な支援」を尋ねられる。質問の中に規定されてしまいそうな感覚。取材の多さ
―仲間の独自の活動
―助成金…助成金情報が飛び交う。焦りと必要性のバランス調整の困難
―ネットワークへの参加…被災地でネットワークが複数立ち上がる。それぞれに参加して感じた課題
3.現在の活動と課題
・現在の熊本での活動と困難、課題
―当事者としてできること、できないこと
―それぞれの立場との調整
―一人で活動することと皆で協力すること…自分は何を目的に何をしているのか、自問自答と並行した活動の進行
―疲労との闘い
・熊本の団体等との連携で感じること
―関係性の築き方…ネットワークに参加する意味、新しい人脈。挑戦できる場
―できることとできないことの説明…できないことをどう伝え、自分はどう納得すればよいのか
4.今後の展望と課題
・今後必要になると思われる活動
―後から起こる大きな変化への対応…数年かけて現れるストレスへの対応。取材が激減したこと。
―地震との関連
・活動のために必要な課題解決
―マンパワーと経済力
―安定した力、体力、調整役…ある程度の安定性と、当事者としての自分の担保の調整。体幹の弱さ、自律神経の弱さと気候の変化に対処すること。ある程度の無理をすることと、サポートしてもらうために申し出ること
―モチベーションの持続に必要なもの…自分への問い直しを毎日繰り返すこと
―しかし、当事者だからできることとその理由
5.発達障害者の特徴と必要な配慮
・地震、非常時にどのような状況になりやすいか
―発達障害者に起こりやすい分かりにくい困難…配慮を求めるために必要なプロセスに、障害特性上の大きなストレスや課題がある
―困難の表明方法
―見えない障害、プライド
・必要な配慮を求める際の課題
―余裕がない中でのコミュニケーション…自分にも、周囲にも余裕がない時、何をどのように伝え、どのような心構えをしておくべきか
―時間をかけること、信頼
・発達障害者の私にとっての信頼とは
6.当事者ができること
・被災地の当事者団体として発信する
―今行うべきことと、今後行うこと…すべきこととできることを調整した優先事項の決定と困難
・リスク管理のために
―活動する者のリスク管理…ルールの細分化に伴う負担。
―当事者としてのリスク管理…日頃から行いたいこと
・当事者活動の多様性
―多様な活動が行われる必要性とそのための土壌
―当事者として支援活動を行う…配慮してもらうためにも、自分が他者に配慮する姿勢を常に持つこと
・報告応募時から報告時の間の活動等により、報告内容の追加または変更を行う場合がある。
*本報告に関する研究のための調査等を行うにあたり、個人情報の漏洩等が無いよう、細心の注意を払った。本報告内に個人が特定され得る情報は含まない。
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