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障害学会第13回大会(2016年度)報告要旨
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草山 太郎 追手門学院大学地域創造学部
■報告題目
ブラインドサッカーにおける晴眼プレイヤーをめぐって
■報告キーワード
障害者スポーツ、ブラインドサッカー、晴眼プレイヤー
■報告要旨
1研究に至る背景
近年、メディアにおいてブラインドサッカーがよく紹介される。フットサルのルールをベースにしているこのスポーツは、視覚障害を有する4名のフィールドプレイヤーと、フィールドでプレイする選手に音声で情報を伝えるコーラーおよびゴールキーパーの2名の晴眼者が連携してゲームをすすめる。このように、ブラインドサッカーは視覚障害者と晴眼者がチームを組んで行うスポーツである。
以前からブラインドサッカーに注目していたわたしは、「ブラインドサッカーの魅力と課題」(草山 2016)において、ブラインドサッカーの歴史と特徴的なルールを概観したあと、視覚障害プレイヤーの語りをとおしてブラインドサッカーの魅力を明らかにし、ブラインドサッカーの普及発展にとって必要な課題を考察した。その結果、ブラインドサッカーには「自由に動ける」「仲間とのつながり」「技術の深さ」「知的なスポーツ」という魅力が認められることがわかった。また、ブラインドサッカーのプレイには「おもしろさ」だけでなく、時に「怖さ」がともなう旨も確認された。したがって、ブラインドサッカーの普及発展のためには、「技術の深さ」をもつ「知的なスポーツ」として魅力を伝えていくことと安全対策を充実していくことが課題であることを示した(抜刷を報告当日配布する)。
2研究目的
ブラインドサッカーの国際大会にフィールドプレイヤーとして参加できるのは全盲のプレイヤーのみである。先に記したとおり、晴眼者がエントリーできるポジションはゴールキーパーとコーラーに限られる。
しかし、日本国内のローカルルールでは、弱視者や晴眼者もフィールドプレイヤーとして参加することができる。そこで今回は、晴眼のフィールドプレイヤーに注目する。視覚障害者がプレイすることを念頭に考案されたこのゲームに、彼/彼女らはなぜ参加しているのだろう。
晴眼プレイヤーがブラインドサッカーのフィールドプレイヤーとして参加した契機やブラインドサッカーに感じる面白さや難しさを明らかにすることをとおして、これまでとは別の角度からブラインドサッカーとはどのようなスポーツであるのかを考えてみたい。
3研究方法
まず、晴眼プレイヤーの参加資格の変遷について整理するために、日本ブラインドサッカー協会事務局長松崎英吾氏からブラインドサッカー日本選手権等の実施要項の提供を受け、不明な点については聞き取り調査を行った(2013年9月)。
次に、ブラインドサッカーを行っている3名の晴眼プレイヤーに対し、それぞれ約2時間のインタビューを実施した(2013年9月)。質問は「ブラインドサッカーを行うようになった契機」「ブラインドサッカーの面白さと難しさ」等で、半構造化面接により実施した。
4結果
はじめに、晴眼プレイヤーの参加資格の変遷について述べる。ブラインドサッカーにおいて初めて晴眼プレイヤーの出場が認められたのは2008年1月に開催された第6回日本視覚障害者サッカー選手権大会である。この大会の実施要綱の「参加資格」には、「チーム登録上、止むを得ない場合、B1、B2/3クラス(注)とも、晴眼者の登録を2名まで認める」と記されている。現在もブラインドサッカー日本選手権大会においてはフィールドプレイヤー4名のうち2名まで晴眼プレイヤーの出場が認められている。
次に、晴眼プレイヤーへのインタビューについてである。こちらについては、現在、データの分析を行っているところであるため学会当日に報告する。
注:視覚障害者スポーツでは「見えにくい状態」を「B1:全盲から光覚(光を感じられる)まで」「B2:矯正後の診断で、視力0.03まで、ないし、視野5度まで」「B3:矯正後の診断で、視力0.1まで、ないし、視野20度まで」に分けている。B1と診断された人がプレイするのがブラインドサッカーである。(日本ブラインドサッカー協会 2016)
*倫理的配慮
本研究ならびに研究のために実施した調査は、「日本社会学会倫理綱領」(http://www.gakkai.ne.jp/jss/about/ethicalcodes.php)および「日本社会学会倫理綱領にもとづく研究指針」(http://www.gakkai.ne.jp/jss/about/shishin.pdf)を遵守して行うものである。
文献
草山太郎,2016,「ブラインドサッカーの魅力と課題—視覚障害プレイヤーの語りから−」,『追手門学院大学地域創造学部紀要』第1号、65-91
日本ブラインドサッカー協会,2016,「ブラインドサッカーのルール」,日本ブラインドサッカー協会ホームページ,(2016年7月20日取得, http://www.b-soccer.jp/aboutbs/aboutbs_2)
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