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障害学会第12回大会(2015年度)報告要旨


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相良 真央 (さがら まお) 熊本県発達障害当事者会 Little bit / 宮崎青年・成人発達障害当事者会 ShiKiBu

■報告題目

発達障害当事者特有の価値──発見と創造による啓発に向けて

■報告キーワード

発達障害 / 発達障害特性 / 当事者会

■報告要旨

 本報告の目的は、私たちはどのように発達障害・発達障害当事者特有の価値を認識し、啓発に役立てることができるか、また当事者特有の価値に付随する課題等について考察し、当事者のより安定した日常生活のために、当事者・関係者、また社会への問題提起とすることである。

 以下、発達障害当事者を単に当事者と表記することがある。また、定型発達者とは発達障害ではない人の事を表す。また、個人や当事者に関し価値という語を敢えて使用することをご了承頂きたい。

 私は発達障害当事者として、発達障害・発達障害当事者は社会の中においてどのように捉えられるべき存在であるかについて、定型発達者と共に考えることを主眼とし、研修活動にも取り組んでいる。その際、参加者が主体的に考え、取り組めるプログラムを工夫することを心がけている。

 発達障害当事者は社会生活において、支援や、健常者に対する際とは違う観点からの対応を必要とする場面に直面することがありながら、周囲の発達障害・発達障害当事者に対する一般的な「イメージ・印象」等が主因となり当事者にとって適当な支援を受けることができない場合や不適切な対応をされる場合がある。

 それらのイメージや印象等をどのような視点・角度から捉えれば、発達障害・発達障害当事者に関する無理解や誤解を軽減・解消するための鍵となるのか、また新たに発達障害当事者の不利益解消につながるようなイメージを当事者から提案する必要性があるかを考える。

 私たち当事者が日頃感じている「当事者に向けられているイメージ」を再考し、必要に応じて転換の働きかけを行うことにより、当事者の不利益解消にもつながるのではないか。イメージという、多様なものを一まとめにする見方があり得る以上、当事者イメージを当事者から発信する必要もあると考えた。

 有益なイメージ・印象を社会に与える元は、発達障害当事者が持つ特有の魅力や能力、特性に表れる価値であると仮定し、特有の価値とはどのようなものか、どのように捉えられるべきか考察した。

 また、発達障害当事者特有の価値の差による課題についても考え、当事者間の不平等の少ない形での社会啓発への役立て方を模索したい。


*価値については、以下のポイントから考察する。

1.発達障害当事者としての価値とはどのようなものか
・当事者会等に参加し他の当事者と交流がある当事者は、当事者とはどのような存在だと感じているか
・当事者としての自身の体験(研修活動等での体験を含む)
・当事者と関わりのある定型発達者の考える当事者像について
 等を参考とする。当事者特有の価値がどのように捉えられているか。

2.当事者特有の価値
具体的に当事者のどのような特性や言動が当事者特有の価値と結びついているのか。なぜ当事者特有の価値は価値とされ得るのかという背景について。

3.価値の差による当事者間の課題
当事者特有の価値の差が当事者間でどのように現われているか。差によりどのような課題があり、今後発生し得るか。

*当事者の不利益解消のために、常識の再考の必要性を提起し、発達障害者に有効な仕組み作りの推進を促す。それらを既存の価値を見出す観点、価値の創造へとつなげたい。

*本報告に関する研究のための調査等を行うにあたり、個人情報の漏洩等が無いよう、細心の注意を払った。本報告内にも個人が特定され得る情報は含まれない。



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